キミさえいれば
それでもなお
久しぶりの再会に、生徒達の笑い声が響き渡る賑やかな教室。


長いようであっと言う間だった夏休みが終わり、二学期が始まった。


「おはよー、凛」


「おはよ、美咲」


「どうしたの? 顔色悪くない?」


「そんなことないよ」


私は口角を上げて、目を細めた。


窓の外を見ると、真っ青な空が果てしなく広がっている。


すごく綺麗で、なんだか泣きたくなった。


あれから私は、コンビニのバイトを辞めた。


もうバイトをする意味がなくなってしまったから。


店長はあの日の事情を知っているし、すぐに承諾してくれた。


先輩には、あの日以来会っていない。


あの後先輩はすぐに起きて、タクシーで自宅へと戻った。


先輩の温もりが残ったベッドに一人で寝ると、すごく悲しくなった。


先輩のお尻にあった火傷の跡。


私のせいで残ってしまった傷を、私が見間違えるはずがない。


年齢も名前も火傷の跡さえも一致する。


あの人は間違いなくたもっちゃんで。


それはもう、疑いようのない事実だ。


だけど、色んな疑問が残る。


どうしてこの街に住んでいるのか。


どうして名字が変わっているのか。


そして何より、どうしてたもっちゃんは、妹の私を覚えてないのか。


もう、ワケがわからなかった。
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