キミさえいれば
「白石、なんで泣いてる?」


ダメだ……。


先輩を思うと悲しい。


勝手に涙が溢れてしまう。


「なぁ、何か事情があるんだろ?

話してみろよ」


浮田先輩はそう言ってくれるけど、私は首を横に振った。


言えない。


兄妹だなんて、絶対に言えない。


「ごめんなさい……。

私、もう行きます……っ」


「白石!」


浮田先輩の顔も見ないで、私は階段を駆け上がった。


いや。


もう、消えてしまいたい。


先輩のことも。


先輩との思い出も。


何もかも全て、忘れてしまえたらいいのに……!

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