キミさえいれば
その日の夕方。
自宅に帰って着替えていたら、母さんが部屋から起きて来て夕飯の準備を始めた。
私はその様子を、じっと眺めた。
母さんの後ろ姿は、とても40代とは思えないほどの美しさだ。
「ねぇ、母さん」
「ん~?」
何かの食材を刻みながら返事をする母さん。
「お父さんとお兄ちゃん、今どこにいるの?」
私の問いに、母さんが一瞬包丁を持つ手を止めた。
「またその話?
だから前から言ってるでしょ?
もうわからないのよ。
連絡もとってないし」
母さんはいつもそう答える。
わかっていたけれど……。
「どうして連絡を取れるようにしておいてくれなかったの?
お母さんは連絡取りたくなくても、私はお父さんやお兄ちゃんに会いたかったんだよ」
「凛?」
自宅に帰って着替えていたら、母さんが部屋から起きて来て夕飯の準備を始めた。
私はその様子を、じっと眺めた。
母さんの後ろ姿は、とても40代とは思えないほどの美しさだ。
「ねぇ、母さん」
「ん~?」
何かの食材を刻みながら返事をする母さん。
「お父さんとお兄ちゃん、今どこにいるの?」
私の問いに、母さんが一瞬包丁を持つ手を止めた。
「またその話?
だから前から言ってるでしょ?
もうわからないのよ。
連絡もとってないし」
母さんはいつもそう答える。
わかっていたけれど……。
「どうして連絡を取れるようにしておいてくれなかったの?
お母さんは連絡取りたくなくても、私はお父さんやお兄ちゃんに会いたかったんだよ」
「凛?」