キミさえいれば
突然の親父の爆弾発言に、何がなんだかワケがわからなくて、頭が真っ白になっていく。


「実は父さん、お前が中一の時に、ある女性と離婚したんだ」


「え……?」


離婚……?


「父さんはお前を引き取って、その女性はそこに写ってる女の子を引き取った」


「ちょ、ちょっと待ってくれよ。

じゃ、じゃあ、ウチにいる母さんは?」


「父さんの再婚相手で、お前の本当の母親じゃない」


ドクンと心臓が大きく波打った。


母さんが俺の本当の母親じゃない?


そんな……信じられない……。


「どうして言ってくれなかった……?」


記憶を失くした時に言ってくれてたら、それで納得出来ただろうに……。


「実はお前は、父さんが再婚した時、今のお母さんの事をよく思っていなかったんだ。

お前は前の家族をとても大切に思っていたからな。

でも、記憶を失くしたお前は、今のお母さんを本当の母だと思って、優しく接するようになっていた。

だから……、それならそのままでいいかと思ったんだ。

お母さん、お前につらく当たられて、いつもすごく悲しそうだったから……」


そんな……。


俺、そんなの全然覚えてないのに……。
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