キミさえいれば
「凛。

お前の正直な気持ちが知りたいんだ。

世間体も、血の繋がりも。

そんなの一切無視したら、お前は俺の事をどう思う?」


「え……?」


もし、誰の目も気にしなくて良くて。


この心に素直に従えるなら……。


そんなの、答えは決まってる……!


「私も……好き。

先輩が好きだよ……!」


「凛……!」


先輩は私の頬を両手で包むと、私の唇に自分の唇を重ねた。


強く押し当てられる唇に、いけないとわかっていても、抵抗どころか自分からさらに求めてしまう。


次の瞬間、先輩の熱い舌が私の唇の中にねじ込まれ、私のそれと絡まった。


初めての感触に力が抜けて膝がしなると、先輩はそのまま私と一緒に床に倒れこんだ。


ひんやりと冷たい床を背にして、私と先輩は激しく舌を絡めあった。


重なる唇の音が、狭い台所に響き渡る。


「凛……。凛……!」


キスの合間に、先輩が私の名前を何度も呼び続ける。


私はそれに答えるように、先輩に必死にしがみついた。


先輩が好き……。


せつなくて、悲しくて。


でも、こんなにもいとおしい。


「好き……っ」


「俺も……!」


もう先輩以外、何も考えられない。


ゆっくり唇が離されると、先輩は私を抱きかかえ、ベッドへと運んだ。


そしてそのまま、私達は激しく愛し合ってしまった。
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