キミさえいれば
「光栄だな。

白石さんにロックオンされるなんて。

明日、みんなに自慢しようかな」


クスッと笑う生徒会長。


そんな彼を見ていたら、急激に顔が熱くなった。


「し、失礼します」


慌ててカバンを手にすると、私は生徒会室を飛び出した。


あまりに恥ずかしくて、走る足が止められない。


違ってた。


たもっちゃんじゃなかった。


そうだよね。


そもそも名字が違うし。


もし本当にたもっちゃんだとしたら。


私を見て、あんな反応をするはずがないもの。


それなのに、もしかしたら……なんて。


ちょっとでも期待した自分が情けない。


今日私が彼に言った事は、きっと言いふらされてしまうんだろうな。


そして、また噂だけがひとり歩きをするんだ。


「白石凛は、狙った男子をすぐに誘惑する悪い子だ」って……。
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