キミさえいれば
「んんっ」

 
厚めの唇が、ぴったりと私の唇に張り付いている。


必死に押し返そうとするけど、ハヤト君の力はすごく強くて、ピクリとも動かなかった。


やっと唇が離されたかと思ったら、ハヤト君は私の首の赤いリボンをシュッと外した。


そしてあっと言う間に、ブラウスのボタンも外してしまう。


「凛、やめるなら今だぞ。

保と別れろ。

そうしたら、今すぐにやめてやる」


「ハヤト君……?」


「なぁ、別れろよ。

お前だってイヤだろ?

こんな場所で」


私はぎゅっと目を閉じた。


「私、別れない……」


「凛?」


絶対別れない……。


大好きなの……先輩が……。


別れるなんて絶対にいや。


「応じるから、黙ってて。

たもっちゃんの将来の邪魔しないで……」


目から勝手に涙が流れていく。


その雫がぽたりと、耳の中に入った。


「凛。

お前、本当に馬鹿だな。

そんなにアイツがいいのかよ。

俺だって、こんなに思ってるのに……!」


苦しそうな顔をするハヤト君。


知らなかった……。


ハヤト君がこんなに私を思っていたなんて……。


「わかったよ。

黙っててやるよ。

だけど、これ以降はもう知らねぇぞ。

泣いたって止めねぇからな」


そう言うと、ハヤト君は私のブラウスを脱がせてしまった。

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