キミさえいれば
「なんか、色々ショックだ。
お前が以前と同様、凛のそばにいたことも、お前の記憶がないことも。
それより何より、凛が身体を張ってまでお前を守ろうとしたのがな。
なんか複雑な気持ちだよ……」
「藤堂……」
こうしてコイツの横顔を見ていると、結構顔が整ってて、いい男なことに驚いてしまう。
「悪かったな、凛にひどい事して。
お詫びに、お前らが兄妹って事は誰にも言わねぇよ」
そう言って藤堂が口角を上げる。
「でも、認めるわけじゃねぇぞ。
そんなの、やっぱ間違ってると思うし。
大体、大丈夫なのか?
親に見つかったらヤバくね?」
悔しいけど、藤堂の言う通りだ。
俺と凜は、ものすごいリスクを犯している。
「しっかし、皮肉なもんだな。
お前らの親も。
お互い別れたのに、同じ町に住んでるんだからよ。
まぁ、特にショックなのは母親の方だろうけど」
「え……? なんで?」
母親の男性トラブルで離婚に至ったって凛は言ってたけど、どういう意味なんだろう。
「お前、本当に何もかも忘れてんだな。
お前らの母親が、凛を連れて家を出て行ったんだろ?
お前らの父親に三行半を叩きつけて」
藤堂の言葉に、俺は目を大きく見開いた。
「ちょっ、それ詳しく聞かせろよ」
俺は思わず身を乗り出した。
「え、あぁ……話してやってもいいけど、明日にしねぇ?
だってお前、早く凛のところに行った方がよくね?」
確かにそうだ。
こんなところでモタモタしている場合じゃなかった。
「あぁ、もう行くよ。
藤堂、さっきの約束……」
「心配すんな。
誰にも言わねぇから。
だから、さっさと行けって」
シッシッと俺を追い払うような仕草をする藤堂。
俺は走って、体育倉庫を飛び出した。
お前が以前と同様、凛のそばにいたことも、お前の記憶がないことも。
それより何より、凛が身体を張ってまでお前を守ろうとしたのがな。
なんか複雑な気持ちだよ……」
「藤堂……」
こうしてコイツの横顔を見ていると、結構顔が整ってて、いい男なことに驚いてしまう。
「悪かったな、凛にひどい事して。
お詫びに、お前らが兄妹って事は誰にも言わねぇよ」
そう言って藤堂が口角を上げる。
「でも、認めるわけじゃねぇぞ。
そんなの、やっぱ間違ってると思うし。
大体、大丈夫なのか?
親に見つかったらヤバくね?」
悔しいけど、藤堂の言う通りだ。
俺と凜は、ものすごいリスクを犯している。
「しっかし、皮肉なもんだな。
お前らの親も。
お互い別れたのに、同じ町に住んでるんだからよ。
まぁ、特にショックなのは母親の方だろうけど」
「え……? なんで?」
母親の男性トラブルで離婚に至ったって凛は言ってたけど、どういう意味なんだろう。
「お前、本当に何もかも忘れてんだな。
お前らの母親が、凛を連れて家を出て行ったんだろ?
お前らの父親に三行半を叩きつけて」
藤堂の言葉に、俺は目を大きく見開いた。
「ちょっ、それ詳しく聞かせろよ」
俺は思わず身を乗り出した。
「え、あぁ……話してやってもいいけど、明日にしねぇ?
だってお前、早く凛のところに行った方がよくね?」
確かにそうだ。
こんなところでモタモタしている場合じゃなかった。
「あぁ、もう行くよ。
藤堂、さっきの約束……」
「心配すんな。
誰にも言わねぇから。
だから、さっさと行けって」
シッシッと俺を追い払うような仕草をする藤堂。
俺は走って、体育倉庫を飛び出した。