キミさえいれば
校舎へと入り保健室に着くと、俺はすぐにベッドのある場所へと急いだ。


シャッとカーテンを開ける。


すると久保田と田辺がベッドの横の椅子に腰掛けていて、その向こうで凛が目を閉じて横になっていた。


俺は久保田達とは反対側に行き、近くにあった丸椅子に腰を下ろした。


「先輩、あの……。

凛は、アイツに……?」


久保田がつらそうな顔で俺に問いかける。


「大丈夫だ。

ギリギリ間に合った……。

最後は守れたよ……」


俺がそう言うと、久保田がふぅと安堵のため息を洩らした。


「だけどアイツ最低よ。

凛には先輩がいるのに……」


「だから気を付けろって言ったのに。

白石、無防備過ぎるよ」


二人の言葉に、胸がズキズキと痛む。


無理矢理されたんだったら、アイツを半殺しにしてやりたいところだけど。


でも凛は、俺を守ろうとしてアイツに応じたんだ。


だから、俺のせいなんだ……。


「ん……」


「先輩っ。凛が起きた!」


久保田の声に慌てて凛に視線を移すと、凛がゆっくりと目を開けた。


「凛、大丈夫か?」


「せんぱい……? ここは……?」


目をキョロキョロと動かす凛に、俺は「保健室だよ」と答えた。
< 149 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop