キミさえいれば
もう何も感じなくなるかと思うくらい、昼間の私は心を固く閉ざしていた。


でも先輩は、その扉をいとも簡単に開けてしまう。


先輩は優しく、だけど激しく私に触れる。


その波がすごく心地良くて、溺れてしまいそうになる。


先輩が触れる場所全てが熱を帯びて。


先輩になら私は何をされても反応して、身体中が悦び鳴いてしまう。


身体は正直だと思う。


とりわけ女の子はそうなのかもしれない。


先輩に愛されると、昼間のイヤな記憶は跡形もなく消えていく。


何度も見つめあい、何度もキスを交わす。

 
互いに何度も名前を呼び、好きだと伝える。


もうそれだけで、私の全ては満たされて、幸せの絶頂を迎えた。


そうして私は、先輩の腕の中で安心して眠りについた。


朝起きて先輩がいなくても、不思議と寂しいとは思わなかった。


逆に、気持ちが溢れて止まらなかった。


先輩が好き。


たとえ兄であっても。


誰に祝福されなくても。


それでも共に生きたいと心から思った秋晴れの朝だった。
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