キミさえいれば
お店のママに見られていたなんて……。


そうなんだよね……。


先輩と一緒に歩いてたら、母さんの知り合いに見られる可能性は大いにあるんだ。


もちろん見られたからって、その相手が兄だとは誰も思わないはずだけど。


紹介してと言われると、返答に困ってしまう。


やっぱり先輩と私が付き合うってすごく大変だ……。




その数日後、中間試験が始まって、私は今までにないくらいに勉強を頑張った。


かなりの手応えを感じたけど、慣れない事をしたせいか風邪をひいてしまって、試験の最終日には熱を出してしまった。


試験中で昼までで学校は終わったから、先輩が私を自宅まで送ってくれた。


この時間母さんは部屋で寝ているし、先輩はアパートの前まで私を送ってくれた。


「凛。大丈夫? ゆっくり休んで早く治せよ」


先輩がぽんぽんと私の頭を撫でてくれる。


「うん、送ってくれてありがとう」


「あぁ、じゃあまたな」


そう言って手を振ったその時だった。


「凛?」
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