キミさえいれば
聞き慣れた声にドキッとして振り返ると、買い物袋を両手に抱えた母さんが立っていた。


どうして……?


この時間、母さんはいつも寝てるはずなのに。


「凛、そちらの方は?

あっ、もしかして彼氏さん?」


ニッコリ笑う母さん。


「う、うん……」


私は背中に変な汗が流れるのを感じていた。


先輩もまずいと感じているのか、あまり母さんを見ないようにしている。


「初めまして、凛の母です。

いつも凛がお世話になってます」


緊張している私達とは違って、母さんはすごく嬉しそうだ。


先輩はぺこりと頭を下げて、長い前髪で顔を隠すようにしている。


「凛、彼の名前はなんていうの?」
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