キミさえいれば

母さんと先輩が鉢合わせをした数日後。


学校から帰ると、母さんがすごい形相でテレビのある部屋に座っていた。


「ど、うしたの？　母さん……」


尋常じゃない母さんの殺気だった様子に、私は怖くてそれ以上中へ入れない。


どうしよう。


嫌な予感がする……。


「凛、ちょっとここに座りなさい」


「え……？」


「いいから早く！」


いつものトーンではない母さんの声に怯みつつ、私はゆっくり座布団に腰を下ろした。


「ねぇ、凛。

この前、一緒に帰ってた男の子いたよね？」


「う、うん……」


「本当に、凛の彼氏なの？」


「え……？」


何……？


なんでそんな聞き方……。



「彼氏なのかって聞いてるのよ？」


「母さん……？」


どうして母さん、そんなに怒ってるの？


「凛、あの男の子は彼氏じゃないでしょう？」


ちょっと待って。


一体、どういう意味なの……？


「凛。あの子、保だよね？」


ドクンと心臓が跳ね上がる。


母さん……、知ってる……？


「凛。

あの人はお兄ちゃんでしょう？」