キミさえいれば
え……?


どういうこと……?


「白石ちゃんと二人きりになりたくて、嘘をついたから」


「嘘……?」


私は昼間の出来事を思い返していた。


そう。


あれは二時間目が終わった休憩時間の時だった。


同じクラスの男子に“今日の放課後、生徒会の集まりがあるらしいよ”と告げられた。


「今日、伝言して来たヤツがいたろ?

あれ、俺の知り合い。

白石ちゃんを呼び出すように頼んでおいたんだ」


そんな……!


ワナだったんだ……!


「-というわけで。

邪魔するヤツなんて誰もいないから。

ゆっくり楽しもうか」


そう言ったかと思ったら、男の顔が急激に私に近づいて来た。


ツンと鼻につく、あまり好みではない整髪料の匂い。


思わず顔をそむけると、彼は私の腕を押さえつけたまま、私の首に自分の唇を押し当てた。


直後、舌の感触がザラリと走って、背中にゾッと悪寒が走った。


その熱い舌が、今度は耳へと移動する。


耳の中にまで侵食して、気持ち悪くて吐きそうになった。


「や、めて……!」


じたばたと身体を動かしてみるけれど、押さえつけられた腕はピクリとも動かない。


「白石ちゃん。

そんなふうに抵抗されると、男は余計に燃えるだけなんだけどなー。

わかっててやってんの?」
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