キミさえいれば
ふたつの記憶
凛をアパートへ送った後、俺は自宅への道をとぼとぼと歩いていた。


俺はその当時の記憶は一切ないけど、俺達の両親の離婚の原因は、他でもない俺だった。


俺のせいで家族がバラバラになり、凛とも離れ離れになってしまったんだ……。


でも……。


ひとつだけ確かなことがある。


俺は、記憶を失う前から凛の事を愛していたんだな。


だから凛を初めて見た時、あんなに衝撃が走ったんだ。


凛が気になって仕方なかったのも、俺の心が凛を覚えていたからなんだ。


だけど、ついに俺の存在が母親にバレてしまった。


そして俺から逃げるために、母親は凛を連れて引っ越そうとしている。


俺達は、一体どうすればいいのだろう?
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