キミさえいれば
病院に到着すると、私は夜間通用口から中へと入った。


夜間受付の男性に、救急車で運ばれた人はどこにいるかと尋ねると、2階で治療を受けていると教えてくれた。


私は階段を駆け上がり、2階へと急いだ。


2階のナースステーションの前に着くと、20代くらいの男性が不安そうな顔で立ち尽くしていた。


もしかしてと思って近づくと、「あなたが凛さんですか?」と聞かれて、私はコクンと頷いた。


「申し訳ありませんでした。

僕が彼を跳ねてしまったんです…」


そう言って深く頭を下げる男性。


「あの、せんぱ……。

いえ、兄は無事なんでしょうか?」


震える声で、恐る恐る尋ねた。


「えっ? 妹さんなんですか?」


「……はい」


「ケガは大したことないそうなんですが、意識を失っていて……」


意識を、失っている……?


そんな……。


先輩……!
< 180 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop