キミさえいれば
「お父さん、再婚したんだね……」


正直言って、かなりショックだった。


「うん……。

お父さん、お母さんと別れてすごく寂しくてね。

お父さんのあまりの落ち込み様に、友人達がお見合いを薦めてくれたんだ。

その相手が今の奥さんなんだよ」


お父さんは、申し訳なさそうに言った。


「凛。

さっき、ずっとお父さんを探してたって言ってたけど……」


お父さんの問いに、私はゆっくり頷いた。


「私ね……。

中3の時、どうしてもお父さんとたもっちゃんに会いたくなって、前の家に一人で行った事があったの。

だけど、別の人が住んでいて。

すごく悲しかった……」

 
「凛、あんなに遠いところへ一人で行ったのか。

ごめんな……。

寂しい思いをさせて……」


私はううんと首を横に振った。


「やっぱり無理にでも、お母さんと連絡を取れるようにしておけば良かった。

お父さんのせいだ……」


そう言って父さんは、ひどく悲しそうな目をした。
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