キミさえいれば
ビクッと肩を上げて、慌てて私から離れる男。


ドアに視線を向けると、スラリと背の高い生徒会長の姿があった。


「お前ら、ここで何をしてるんだ?」


怪訝そうに、私と男を見つめる生徒会長。


私はとっさにブラウスの合わせを閉じた。


「忘れ物をしたから取りに来てみれば……。

生徒会室はラブホじゃないぞ」


呆れた顔をしながら、生徒会長が歩み寄って来る。


「悪い、保。

白石さんに誘われてさぁ。

俺はダメだって言ったんだけど、白石さんがどうしてもって聞かなくて」


なにそれ?


ひどい……!


「そこまで言われて応じないのは、男じゃないっしょ~」


ヘラヘラと笑うチャラ男が憎くてたまらない。


普段から男好きだの何だのと噂をされている私だもの。


先日の件もあるし、生徒会長はこの人の話を信じるに違いない。


あまりに悔しくて下唇を噛んでいたら、生徒会長が突然チャラ男の襟元をグッと掴み、そのまま壁にドンッと強く押しやった。
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