キミさえいれば
重ねていく罪
その日の放課後、私と先輩は一緒に下校し、先輩の家に向かった。


先輩の家は自転車で行くには遠くて、バスに乗った。


先輩と横並びにバスに乗っていると、なんだか胸がいっぱいになる。


こんなふうにまた先輩と一緒に下校できるなんて思いもしていなかったから。


学校の前のバス停から15分ほど走ると、景色が住宅街へと姿を変えた。


「凛、次で降りるよ」


「うん」


目的地に到着した私達はバスを降り、手を繋いで住宅地の中をのんびりと歩いた。


ここは私が住んでる場所とは違って、新しい住宅の建ち並ぶとても綺麗な所だ。


しばらく歩くと、目の前に一際目を引くお洒落な家が見えてきた。


すごいなと見とれていたら、先輩がその家の門に手をかけた。


「えっ? 先輩、ここなの?」


「うん、ここ」


う、うそー!


あたたかい色味の門まわりだけでこの高級感。


ガレージのシャッターもやたら大きいし、一体何台の車を所有してるんだろう。


中に入ると、白い砂利が敷き詰められていて、美しい緑とのコントラストがとても綺麗だ。


お父さんと先輩、こんなところに住んでたんだ……。


前住んでいた家より、ずっとすごいじゃないの。
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