キミさえいれば
「ほら、早く謝れよ」と、ベシッと男の頭を叩く生徒会長。


「わ、わかったって。

白石さん、ごめんな……」


そう言って頭を下げる彼だけど、私はどう答えていいかわからない。


「大亮、お前はもう行け」


生徒会長にそう言われた男はゆっくりと立ち上がると、フラフラした足取りで生徒会室を出て行った。


男が出て行ったことにホッとした私は、へなへなとその場に座り込んでしまった。


ぎゅっと自分で自分を抱きしめる。


本当に怖かった……。


もうダメかと思った……。


「白石、これ……」


生徒会長が手渡してくれたのは、さっきアイツに外されたリボンで。


私は黙ってそれを受け取った。


「大丈夫……?」


生徒会長に心配されてるんだと思うと、なんだか不思議な気持ちになってしまう。


「どうして、あの人が嘘ついてるってわかったの……?」


思わず聞いてしまった。


だってこの学校の生徒なら、ほとんどの人があの男の言う事を信じるはずなのに……。


「わかるよ。

だって白石、震えてただろ?

涙目だったし」


なんだか意外……。


あんな状況でも、ちゃんと私の様子を見てくれていたなんて……。
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