キミさえいれば
そして下る罰
12月の寒空の下、学校帰りに私と先輩は合気道の道場の近くの河原に来ていた。


もうほとんど日が傾いていて、空が綺麗なオレンジ色に染まっている。


「凛、元気ないね……」


コンクリートの上に腰掛け、先輩は長い脚を組んでいる。


「そんなことないよ」


そう言って笑ってみせるけど、笑顔がぎこちないことは自分でもよくわかっていた。


「せっかく引越しが中止になったのに、どうして?」


足元の小石を拾い上げる先輩。


それをぽんぽんと上に何度も投げている。


「ん、なんかね。

嘘つくのって、つらいなって……」


地面に視線を落とすと、頭上で先輩のためい息が聞こえた。


「凛の気持ちはわかるよ。

両親を騙してることがつらいんだろう?」


先輩の言葉に、うんと小さく頷いた。


「でも、たとえ嘘をつくのがつらくても。

凛は俺と別れられる?」


別れる?


そんなの……。


想像しただけでイヤだ。


「出来ないだろう?

俺だって同じなんだ。

二人の関係を守るには、仕方がないことなんだよ」


「うん、そうよだね……」


わかってる。


わかってるんだけど。


胸の奥がスッキリしないの……。
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