キミさえいれば
体育は午後からの授業だったから、私は結局放課後まで保健室で休ませてもらった。


「白石さん、帰れそう?」


「はい」


先生に言われてベッドから起き上がると、そのタイミングで美咲が保健室に入って来た。


「凛、気分どう?」


「うん、なんとか」


「黒崎先輩が廊下で待ってるから。着替えておいで」


私の着替えを渡しながら、美咲が小声でそっと教えてくれた。


「ありがとう」


私はベッドのカーテンを閉めると、制服に着替えた。


着替え終わった頃には美咲はもういなくて、私は先生にお礼を言って保健室を出た。


出るとドアのすぐそばで、先輩が私を待ってくれていた。


「久保田が知らせてくれたんだ。

大丈夫か? 凛」


「うん、心配かけてごめんね」


「家まで送るよ」


「ありがとう……」


私達は学校を後にした。


一緒に自転車に乗り、先輩の背中にぎゅっとしがみつく。


私は、不安で不安で仕方がなかった。


私はわりと順調に生理が来る方だ。


それなのに11月が飛んでいる。


もし……。


もしそうだったら……。


私、どうしたらいいの?


「凛? どうした?

手が震えてるけど」


先輩がキュッと自転車を止めて振り返る。


「凛、やっぱり顔色が悪い。 

ちょっとそこの公園で休もうか」


そう言うと先輩は、私を近くの公園のベンチに座らせた。
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