キミさえいれば
私の隣に先輩も腰を下ろす。


ここは小さな児童公園のようで、小さな子供とそのお母さんが数組、遊具で遊んでいる姿が見える。


「凛、大丈夫?

病院行った方が良くない?」


病院と言われ、ゾクッと体に悪寒が走った。


「今から行く?」


「い、いや……っ」


思わず両手で耳を塞いだ。


「凛……?」


戸惑う先輩の声に、ハッと顔を上げた。


「どうしたの、凛。

なんか変だ。

なぁ、何か俺に隠してないか……?」


先輩の眼光が少し鋭くなる。


思わず私は視線を逸らした。


「凛。

俺に隠し事はするなよ。

ただでさえ秘密の関係なんだ。

俺達の間にそんなものがあったら、これから先やっていけるわけないだろう?」


先輩の低い声色に、ぎゅっとスカートを握った。


そうだよね……。


先輩に隠すなんて、そんなこと出来ない……。


「先輩……」


「ん?」


「私ね……、先月から生理が来てないの」


「え……?」


先輩の動きがピタリと止まる。


「それって……」


「どうしよう、先輩。

怖い……。

怖いよ……!」


ブルブルと身体が震えてしまう。


「凛、大丈夫だ。

俺がついてる。

俺がそばにいるから……」


先輩が私の肩をぎゅっと抱き寄せる。


私は先輩の腕の中でずっと震えていた。
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