キミさえいれば
その後はなんだか夢を見ているみたいで、ちっとも現実味を感じなかった。


先輩が薬局で検査薬を買って来てくれて。


私は公園のトイレでその検査薬を使った。


しばらく待って、先輩と一緒に結果を見たら。


陽性反応が出てしまった。


実は私と先輩は、きちんと対策をしていなかった。


最後だけ先輩が処理をしてくれていて。


それで大丈夫だと、信じてはいけなかったのかもしれない。


思い当たるとしたらあの日……。


ハヤト君に体育倉庫に連れて行かれた日。

 
あの夜、私達はあまりに激しく愛し合ってしまって。


夢中になり過ぎて、失敗してしまったのかもしれない。


あぁ……。


これは、天からの罰なんだ……。

 
愛してはいけない人を、愛してしまったから……。


兄と妹なのに、関係を持ってしまったから。


やっぱり許されることではなかったんだ。


私のお腹に宿ったこの命は、決してこの世に生まれてはいけない命だ……。


 
どうして……。


どうしてこんなことになってしまったんだろう。


私はもう、生きた心地がしなかった。
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