キミさえいれば
次の日、私は生徒会の顧問の先生を訪ねた。


生徒会を辞めたいと言うと、先生はすごく驚いていた。


それは、至極当然だ。


だって生徒会の仕事を、まだ何一つしていなかったのだから。


だけど、もともと好きで立候補したわけじゃないし、どうしてもメンバーとうまくやっていく自信がないと言うと、辞表を書くように言われた。


生徒会長と顧問の先生が承認して、代わりの役員が決まれば辞められるらしい。


代わりを見つけられたら一番早いと言われたけれど、友達が一人もいない私には酷なことだ。


だけど、とりあえず辞表をすぐに書いて、顧問の先生に提出した。


とにかく、あそこにはもう出入りしたくない。


チャラ男にも生徒会長にも、絶対に会いたくないから……。



 
その日の昼休みの事だった。


売店で買ったパンを食べて、
ボーッと窓の外を眺めていたら、“キャーッ”という奇声に近い歓声が廊下に響き渡った。


芸能人でも来たのかと顔をしかめていたら、ガラッと教室の後ろのドアが開いた。


「白石凛はいる?」


自分の名前を呼ばれた事と、やたらと女子生徒達の視線を集めているのがあの生徒会長なことに驚いた私は、しばらく固まってしまった。
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