キミさえいれば
だけど、洋二さんはもう心に決めてしまったようで、私が何を言っても聞く耳を持ってくれなかった。


私はまだ生まれて数ヶ月の凛と、1歳の保の母親になるなんて無理だと思ったのに。


そうして半ば強制的に、4人での生活が始まった。

 
最初はしんどいかと思っていたけれど、洋二さんはものすごく頑張ってくれたし、おばあちゃんに助けてもらいながら、なんとか私も乗り切る事が出来た。


保は素直で良い子だったし、凛をとても可愛がってくれた。


だからこれで良かったんだって、幸せを感じていたわ。


だけどね。


凛が高学年になった頃、保が凛を女の子として意識するようになっていることに、私は気付いてしまって。


もともと本当の兄妹じゃないし、本能的に血が繋がってないってわかるのだろうかって、そう考えると怖かった。


それに保の凛への溺愛ぶりは近所でも有名で、兄が妹に恋してるなんて噂もされていたし。


私は人一倍世間体を気にするタイプだったから、兄妹でそんなことがあってはいけないと思って、いつも洋二さんに相談していたの。


だけど、いつも軽くあしらわれてしまって。


正直、不満はものすごく溜まっていた。


洋二さんはいつだって、私を子供扱いする。


そして最終的には、私の意見を無視してしまうから……。
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