キミさえいれば
「はい」


母さんが返事をすると、ガラガラとドアが開いて、見知らぬ女性が顔を出した。


カツカツとヒールを鳴らし、病室に足を踏み入れるその女性。


誰?


もしかして、病室を間違えてない?


母さんもそう思ったらしく、「どちら様でしょうか?」と尋ねた。


すると、ショートカットのキリッとした顔のその女性は、さらに私達に近づいて来た。


「白石さんですよね?」


「え? あ、はい。そうですけど……」


きょとんとする私と母さん。


「初めまして。黒崎です」


え……?


黒崎……?


「あの、もしかして洋二さんの?」


母さんが問いかけると。


「はい。黒崎加奈子と申します」


その人は綺麗に頭を下げた。


紺色のスーツを着て、いかにも仕事が出来そうなかっこいい女性。


この人がお父さんの再婚相手で、先輩の今のお母さんなんだ……。
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