キミさえいれば
「それで、これからどうするの?」


「うん……。

大変だってわかってるんだけど、お父さんや母さん、黒崎さんの助けを借りながら、私……産もうと思ってるの」


本当にありがたいことだと思った。


両親が離婚してからというもの、自分の境遇を悲しく思ったことは何度もあったけれど。


今は私、すごく恵まれていると思う。


「先輩はなんて言ってるの?」


「うん。

たもっちゃんはね。

赤ちゃんを迎えるなら、高校卒業後すぐに働きたいって言ってたんだけど。

指定校推薦だしね。

大学は出ておきなさいって、お父さんや黒崎さんに強く言われて。

学生をしながらのパパになりそうだよ」


「黒崎先輩がパパ……?

な、なんだか想像がつかないわ……」


なんとなく溺愛しそうなイメージではあるんだけど。


どうかな?


「凛は三月までは学校に来るのよね?」


「うん。

そのあと一年休学して、その翌年から三年生をやるつもりだけど。

問題は学校の理解が得られるかどうかなのよね」


妊娠した生徒は退学かもしれないし。


「前例とかあったかなあ?

ちょっとわかんないな……。

でももし学校側が受け入れてくれたとして、凛は周囲の目に耐えられるの?」


「え……?」
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