キミさえいれば
それからというもの、私はお腹に命を抱えたまま、毎日学校に通った。


気持ちが悪くて授業中つらい時もあったし、期末試験の結果もさんざんだったけれど。


それでも慎重に毎日を過ごし、学校は冬休みに突入した。


とりあえずホッとしていた。


すぐに来たクリスマスは、たもっちゃんと一緒にイルミネーションを見に出かけた。


その時たもっちゃんが、私にプレゼントしてくれた物。


それは、小さな石の付いた指輪だった。


一応、婚約指輪っていうことみたい。


安物でごめんねって、たもっちゃんはそう言ったけど。


私には充分過ぎるくらいだった。


小さなタンザナイトが埋め込まれた指輪は、私の薬指で神秘的に光っていた。


年末になるとお父さんから電話があって、一緒に年越しをしないかと誘ってくれた。




そうして迎えた31日。


私は泊まりの準備をして、黒崎邸へと向かった。
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