キミさえいれば
リビングのテレビでは、どこかの神社の映像が流れていた。


私はソファに座るたもっちゃんの隣に腰を下ろした。


ボーン、ボーンと。


除夜の鐘が幻想的に鳴り響く。


思えば今年は、色んなことがあった。


先輩がたもっちゃんだと知って苦しんで。


突然現れたハヤト君に驚かされたり。


両親の離婚の本当の理由を知ったり。


たもっちゃんが、本当はお父さんと母さんの息子じゃないと知ったり。


そして今は……。


お腹に赤ちゃんがいる……。




たもっちゃんが隣にいて、目の前にはお父さんと黒崎さん。


たもっちゃんと結婚したら、毎年こんな光景になるのかもしれない。


私は結婚しても義父が本当の父親だなんて。


なんだか不思議な感じだよね……。


「あと15秒だ」


横でたもっちゃんが言った。


「5、4、3、2、1……」
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