キミさえいれば
横になるとすぐ、たもっちゃんがそっと抱き寄せてくれる。


その腕の中に入って、たもっちゃんの厚い胸に顔を埋めた。


「たもっちゃん」


「ん?」


「私、幸せ……」


「うん、俺も。

こんな日が来るなんて思いもしなかったから……」


本当にそうだよね……。


血が繋がった兄妹だと思って、ずっと苦しんで来たんだもの。


両親に認められて、こんなに嬉しいことはないよ。


「凛。

俺が高校を卒業したら、すぐに籍を入れようか」


「せ、籍っ?」


「どうしたの?」


「だ、だってなんだか……。

ドキドキしちゃって……」


私の言葉に、たもっちゃんがクスッと笑う。


「凛は俺のお嫁さんになるんだな」


「お嫁さん……?」


そう言えば子供の頃。


『凛は大きくなったら、たもっちゃんのお嫁さんになるのー』


そう言って、結婚式の絵を描いていた覚えがある。


まさかそれが現実になるなんて……。


嬉しくて、涙が出て来ちゃうよ。
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