キミさえいれば
「黒崎先輩って合気道を習ってるの。

黒崎先輩からケンカを仕掛けてくることってまずないけど、こっちから仕掛けて行ったら、確実に痛い目に遭うと思う」


「合気道?」


それを聞いてますます確信した。


あの人、絶対たもっちゃんじゃない。


だって、たもっちゃんはサッカーひと筋だったもの。


「自宅も豪邸らしいし、成績もめちゃくちゃいいの。

生徒会長に、なるべくしてなったって感じよね」


お金持ちで頭が良いって。


色々と恵まれ過ぎじゃないかな……。


「それに加えてあの容姿だからね。

女子からの人気がすごいのよ。

眼鏡かけてて、あれだけの男前って珍しいよね」


なるほど。


だから昨日あんなに黄色い歓声が上がって、私は女子達に睨まれたんだ。


「そんな心強い先輩がいるからさ。安心していいよ、凛」


「う、うん……」


でも、彼がたもっちゃんに似ているのが、ちょっと引っかかるんだよね。


なんだか錯覚してしまいそうで……。


「それに私もいるしね。

私、凜のこと好きだよ。

私って、こういう勘が鋭いの。

私達、絶対気が合うと思う」


そう言われると、確かにそうかもしれない。


私も彼女が嫌いじゃない。


むしろ、好きかもしれない。


もしかして、本当に友達になれるかも?
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