キミさえいれば
生徒会の集まりは基本的に週1~2回らしく、私はそれ以外の日をコンビニのバイトに充てた。


週5日入れない分、夜を遅めにしてもらった。


学校の勉強よりも何よりも、私にはこのコンビニのバイトが一番大切だから……。


いつものように黙々とレジの仕事をしていたら、一人の男性客がレジにやってきた。


その人はパンやおにぎり、ドリンクなどを購入。


おつりとレシートを渡し、品物を袋に入れている時だった。


「おい、ここで何してる?」


突然声を出す客に、作業手が止まる。


どこかで聞いた事のある声。


恐る恐る顔を上げると。


「く、黒崎先輩……」


こともあろうに、私の目の前に私服姿の生徒会長が立っていた。


「白石。ウチの高校はバイト禁止のはずだが」


なんてこと。


よりによって生徒会長に見られるなんて!


「このコンビニはよく利用するけど、白石を見るのは初めてだ。

最近始めたの?」


「えっ、いやあの……。

4月から、やってます……」


「はぁぁ~っ?」


しまった。


私ってば余計な事を……。


「何時上がり?」


「あ、えと。22時上がりです……」


なんでそんなことを聞くんだろう。


「あと30分か。

終わるの待ってるから、勝手に帰るなよ?」


黒崎先輩は商品の入った袋を手にすると、コンビニを出て行ってしまった。


待つって言ってたけど、どういう意味なのかな。


もしかして私、コンビニのバイト辞めさせられるとか?


そんな。


どうしよう!
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