キミさえいれば
母さんと久しぶりに朝食を食べたその日は。


生徒会の活動がなくて、学校で黒崎先輩に会う事はなかった。


だけど、コンビニのバイトが22時に終わると、先輩は昨日約束した通り、コンビニの前で私を待っていた。


有無も言わさず私の自転車に乗り、私を後ろに乗せる黒崎先輩。


ちょっと強引だけど、心配して送ってくれてるんだと思うと内心嬉しかった。

 
二人乗りなんてしていると、どうしても子供の頃を思い出してしまう。


あの頃も、私は兄の漕ぐ自転車の後ろに乗って、色んなところに出かけたものだ。


目の前にある先輩の背中はすごく広くて、男らしくて。


たもっちゃんも今頃は先輩のように、背が高くなっているのかな……なんてことを思った。


あの頃は、私より少し背が高いだけだったから。


そうやって先輩と一緒に帰るのが続いたある日の事だった。


いつもなら私の家に着くとすぐに帰る先輩が、なかなか帰ろうとしなくて。


なんとなく流れでアパートの近くの公園に入り、私達はブランコに腰掛けた。


「ブランコなんて、子供の頃以来だ」


そう言ってブランコを漕ぐ先輩。


「私も小学校以来です」


たもっちゃんと近所の公園のブランコによく乗ってたなあ。


私も何となくブランコを漕いでみた。
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