キミさえいれば
自転車で通える公立高校へ入学して5ヶ月。


淡々と繰り返される学校生活には、何の喜びも楽しみも見い出せなくて……。


だったらせめて、心穏やかに静かに過ごしていたかったのに。


「あの子でしょ?」


「母子家庭で、母親が水商売だとか」


「母親に似て、すぐ男を誘惑するんだって」


「お願いされたら、誰とでも寝るらしいよ」


「顔だけはやたら良いから、男は騙されるんでしょ?」


「同じクラスでなくて良かったよね」


「ホント。

あの子がいたんじゃ、クラスの男全員持っていかれそうじゃん」


コソコソとされていたであろう噂話も、今では遠慮なく私の耳に届いている。


こんなことは、別に今に始まったことじゃない。


中学の頃だって、あらぬ噂を立てられて、いつも一人ぼっちだったから。
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