キミさえいれば
「私に構わず、綾香さんのところへ行ってあげてください。

私は大丈夫なので……」


今までだって、ずっと一人だったんだもの。


それが元に戻るだけの事。


もう、孤独には慣れてる……/。


「何それ?

俺がそばにいたら迷惑ってこと?」


「そ、そういう事じゃなくて。

先輩が綾香さんのことを好きなら、応援したいと思って……」


言った途端、なぜか胸が苦しくなった。


「あのさぁ」と、ため息をつく先輩。


「いつ俺が綾香とよりを戻すって言ったんだよ」


そう言われて、私は首を傾げた。


「違うんですか?」


「違うよ。

だって俺の中では、もう随分前に終わったことだし。

彼女に対して、恋愛感情なんてないよ」


うそ……。


そうなんだ……。

 
でも、じゃあどうして。


どうして先輩は今日で最後にしたいって言うの?


もしかして、私のことが嫌いとか。


だったらどうしよう。


そんなの悲し過ぎる。


「白石、俺ね。

白石の事が気になるんだ……」


意外な言葉にびっくりして先輩を見ると、なぜか先輩はきゅっと目を細めた。


「気になって、気になってしかたがないんだ……」
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