キミさえいれば
そして、ついに迎えた放課後。


ドキドキしながら生徒会室の扉を開けると、すでに美咲と一年の男子役員が来ていた。


「凛、見たわよー。

文化祭の最後、黒崎先輩と踊ってたじゃない」


部屋に入るなり、美咲にニヤニヤしながら聞かれた。


「う、うん」


どうしよう。


美咲には話した方がいいのかな?


「どういう流れ?

申し込んだの?

申し込まれたの?」


「えっと、あの……」


どうしよう。


顔が熱い。


私って顔が赤くなりやすいから、バレバレなんだよね。


恥ずかしくて、うつむいていると。


「それを言うなら、お前らもだろ?」


ビクッとして声のした方を見ると、入口に黒崎先輩が立っていた。


「久保田と田辺。

お前らだって、仲良さそうに踊ってたじゃないか」


「え……?」


美咲と田辺君が?


「えっ、気づいてたんスか? 先輩」


「うそー! 恥ずかしい。見られてたんだ」


二人が慌てている。


「ねぇ、美咲。どういうこと?」


ワケがわからなくて尋ねると。


「まぁ、そういうことなのよ。凛」


「そういうことって?」


「私と田辺、付き合う事になったから」


そう言って美咲は、にっこりと笑った。
< 64 / 311 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop