キミさえいれば
「ご、ごめんなさい。

あのっ、いいんです。

ちょっと、気になってただけでっ」


あまりに恥ずかしくて、もう顔が上げられない。


「凜、気になってたの?

どうして……?」


いつも以上に優しい声で尋ねる先輩。


その声に少し勇気が出て、私は正直に打ち明けることにした。


「せ、先輩は、私のこと。

そんなに好きじゃないのかなって。

ちょっとだけ……、不安だったんです……」


言った途端、なぜか涙が溢れて来た。


どうして流れるのか、わからない。


多分私、自分が思ってる以上に不安だったんだ。


綾香さん以上に、先輩に好かれているのかどうか。


「凛、泣いてるの?

嘘だろ?

ごめん……!」


そう言うと先輩は、私の事をぎゅっと抱きしめた。


「不安にさせて、ごめんな……」


先輩の少し低い声が、私のすぐ耳元で優しく響いている。


「俺だって、したいんだよ……」


え……?


本当に?


じゃあ、どうして先輩は……。


「俺も不安だったんだ。

凛が本当に俺のことを好きなのかどうか……」


先輩の意外な言葉に、思わず先輩を見上げた。
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