キミさえいれば
ドキドキしながら先輩の腕の中に入ると、すぐに先輩がぎゅっと私を抱き寄せた。


寝転んだ芝生から見える空は真っ青で、とても綺麗だ。


「ねぇ、先輩。

先輩はどこの大学に行くんですか?」


遠くへ行ってしまうのかな……。


「んー最初はさ、県外へ出ようと思ってたんだけど。

でも今は凛がいるから、自宅から通える大学に行くつもり。

俺は特殊な学部を希望してないから、地元でも大丈夫なんだ」


「本当ですか?」


じゃあ、卒業してからも会えるんだ。


「俺、凛と離れたくないから」


ニッコリ笑う先輩の顔が優しくて、胸がキュンと音を立てた。


「良かった。

先輩が遠くへ行ってしまうかと思った」


思わず、先輩のシャツにギュッとしがみついた。


先輩がいないと、私はもう……。


「大丈夫だよ。

ずっと凛のそばにいるよ」


そう言って、先輩が優しく私の髪を撫でてくれる。


「夏休み、時間見つけてたまには会おうな。

じゃないと俺も頑張れないし」


先輩はそう言うと私を抱き寄せて、チュッとおでこにキスをくれた。


「先輩、大好き……」


「俺も……」


私達は芝生にしばらく寝転んで、次第にオレンジ色に染まっていく空を眺めていた。
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