キミさえいれば
今日の忌まわしい記憶を消し去るように、凛の真っ白い首筋と肩にくまなく唇を落としていく。


しばらくそうしていると、凛が急に目を開けた。


「せ、んぱい。ごめんなさい。あの……。

眼鏡が……当たってます……」


「あ……」


俺はうっかり眼鏡をしたままだった。


「ごめん……」 


照れながら眼鏡を外すと、凛が目を大きく開いた。


「先輩、すごく綺麗……。

カッコイイです……」


そう言って凛は俺の前髪をかき上げ、傷跡に優しくキスをした。


 その愛らしい動作に、俺は思わずぎゅっと凛を抱きしめ、そのまま凛の胸に顔を埋めた。
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