キミさえいれば




「凛、大丈夫なの?

母さんが運ぶわよ」


「大丈夫。

凛、お手伝い出来るもん」


お父さんが飲むお酒とおつまみ、凛がリビングのテーブルまで運んであげるんだ。


でも、ちょっとだけ重いかも。


「あっ」


いけないっ。


お盆を落としそう。


「凛、危ない!」


「きゃ……っ!」


 ジュッ。


「うぁぁっ」


「た、たもっちゃん?

大変!

お母さん、早く来て!

たもっちゃんがストーブで……っ」


「えぇぇっ?

保、立てる?」


「ちょっと無理かも……。痛くて……」


「たもっちゃん! いやっ!

死んじゃやだぁ」


「凛、ちょっと落ち着いて」


「だってお父さん、どうしよう。

たもっちゃんが、凛のせいで火傷したから」


「大丈夫だよ、凜。

すぐに病院に連れて行くからね」


ごめんなさい、たもっちゃん。


凛が出来もしないのに、お手伝いなんかしたから。


お父さん、お母さん。


たもっちゃんを助けて。


お願い。


お願いだから……!
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