キミさえいれば
ハッと瞼を開けると、目の前に飛び込む自分の部屋の天井。


「なんだ、夢か……」


久しぶりにあの日の夢を見た。


小学一年生の時だった。


私の不注意で、たもっちゃんのお尻に火傷を負わせてしまった。


幸いそんなにひどい火傷ではなかったけれど、その跡がくっきりと残ってしまった。


私が謝るとたもっちゃんは、凛が火傷しなくて良かったと言ってくれて。


あの頃からたもっちゃんは、本当に優しいお兄ちゃんだった。


「あれ?」


さっきから、なんか体がスースーする。


「あっ、えっ?」


やだ。


なんで私、裸なの?


あ、そうだ。


私、先輩と……。


チラリと横を見ると、先輩が私の隣でぐっくりと眠っていた。


先輩……。


私達、結ばれたんだね。


嬉しくて、思わず寝ている先輩の頬にキスをした。


先輩の寝顔って、なんだか可愛い。


眼鏡を外した先輩も、めちゃくちゃカッコ良かったな。


やっぱりイケメンなんだなあ、先輩は。


ふと、ベッドの端に置いてある目覚まし時計に目をやると、すでに午前2時30分を指していた。


いけない。


早く仕事が終わったら、母さんが帰って来るかもしれない。


「先輩、起きてください。

もうすぐ母が帰って来るかも」


私は裸の先輩の肩を軽く揺すった。


「ん……」
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