キミさえいれば
ゴロンと寝返りを打つ先輩。


すると先輩の背中が、私のすぐ目の前に来た。


もう、先輩ってどこから見てもカッコ良すぎる。


先輩の背中があまりに綺麗で、私はそっと先輩の背中に触れた。

 
肌もツルツルして綺麗……。


先輩の背中を優しく撫でながら、思わず見とれていた時だった。


「え……?」


ドクンと心臓が激しい音を立てる。


ガバッと起き上がり、口を両手で押さえた。


身体中がブルブルと震える。


そして目からは、勝手に涙が止めどなく流れていた。


うそ。


うそだ…。


こんな事って…!


私の目の前に横たわる男性。


ついさっき、ひとつに結ばれたばかりの私の愛する人。


もう先輩以外、誰も愛せそうにないのに……。


もう引き返す事なんて、絶対出来ないのに……!





「た、もっちゃん……っ」







先輩は……。








私の兄だった……。

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