アメ、ときどきチョコレート
「おい、お前、好きな奴いないよな」



「いるわけないじゃない。自慢じゃないけどわたしは十四年間誰にもチョコをバレンタインデーに渡したことがないのよ!!」



「……」



「……なによ」



「お前の父さんが心配してるぞ。私のかわいい娘がーっ、って」



「え……?」



 わたしの父さん?わたしに父さんはいない。はずだが。



「お前の父さんは、俺といっしょに暮らしている。俺はお前と双子だから、俺の母親はお前と暮らしてる人のことだよ」




 わたしは初めて知った事実にただ驚いていた。

 そういえば昨日、坂本はわたしと坂本は[双子である]と言った。昨日はその話を飲み込めなかった。でも今はーーー。



「昨日、わたしと坂本は双子だと言ってたけど、それってーーー」



「お前、その話信じてくれたのか?」



 坂本は少し意外そうにそう言った。そして、こう言った。



「俺達は、二卵性双生児だ。お前も、昔は北海道に住んでいたんだ」


 そしてある時父さんと母さんは喧嘩をした。


「その時はまだ、大したことはなかったんだ」


 でも一度起きた喧嘩は、浅くとも長く続いた。


「そして、また激しい喧嘩が起きたーーー」


 もう二人の仲が戻ることはなかった。


 そして、わたしたちは引き離されてしまったーーー。
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