アメ、ときどきチョコレート
『わたしは坂本先輩のことを好きだったのに!朝倉先輩、急に出てきて取っちゃうなんてヒドイです!!』

 放課後、わたしの下駄箱にこんな手紙が入っていた。



 ……急に出てきてなんて言われても困る。むしろ急に出てきた方は和哉の方じゃないか!しかしちょっと前に転校してきた和哉に恋をするなんてすごい人だ。



 数秒後、男友達に囲まれて和哉がやって来た。わたしが為す術もなく突っ立ているのを見た男どもはわたしに絡んできた。


「ついに朝倉もラブレターを貰うようになったか!」


「しっかし渡す方もすっげえ根性してるな」



 こう言って男どもはわたしの頭をペシペシと叩く。



「うるさいわね!」


 わたしは手持ちの本で男どもの頭をパコンと殴る。


「ヘッへ~ン、俺たちゃ石頭!」



 ……わたしの本がグニャリと曲がっただけだった。くそう……。



『ゴメン!今日委員会だった!先帰っててください(T_T)』

 芽衣からのメール。携帯を見てため息をついたわたしを見た和哉は「行くぞ」と言ってわたしの手を引っ張った。



「ちょっと、どこに行くのよ!」



「いいから乗れ!」



 無理やり和哉の自転車に乗らされた。ビュンビュン走る自転車(何をどうしたらこんなに速くなるんだ!)。ほっぺたにあたる風が冷たい。



「お前、ドーナツなら何味が好き?」



「え?そうだなあ、苺のクリームのやつ!」



「ふーん」


 和哉は駅前の人気ドーナツ店、『SWEETDonut』の前で自転車を止めた。


「じゃ、ちょっと待ってろ」


 和哉はそう言って『SWEETDonut』に入っていってしまった。



「ヒックシュン!」



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