アメ、ときどきチョコレート
「ごめんな?あんなところで待たせて」


 和哉が下を向きながら言う。


「そうよ!あんなところで待たせるからよ!!」


 わたしがそう言うと、和哉のうつむく角度がさらに深くなる。

 和哉、みんなの前ではあんなクールな奴って顔してるくせに、わたしと二人になるとこんなかわいい顔を見せるんだから!


「……でも、和哉はわたしのためにドーナツを買いに行ってくれたんだもん」


 そっぽを向きながらわたしはそう言った。うおおー、恥ずかしい……。

 和哉の方を見ると、和哉は顔をクシャッとさせて顔いっぱいに笑った。


 ーーーーかわいい顔するじゃない……。顔がカーっと熱くなる。ほっぺをおさえると、やっぱり、熱い。


「お前、顔赤いぞ。まだ熱があるんじゃないのか」



「うるさいわねっ!もう風邪なんか治ったわよ!!」



「そうか?」



 まだ和哉は目の前でごちゃごちゃ言っているが、目の前にいられると緊張する!



「ふうん。じゃ、明日は学校来いよ」



「うん」




 和哉はそう言うと部屋を出て行った。



「あああっ!」


「どうしたの!?なんか起きた!?」


 わたしが思わず大声を上げると、母さんがとんで来た。


「あ、ごめんなさい。ちょっとね」


 母さんはふっと笑って、


「おとなしくしてなさいよぉ」


 と言って階下に降りていった。





 ーーーーーなんであの時和哉はわたしたちが[付き合っている]と言ったんだろう。
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