アメ、ときどきチョコレート
 あ、そう言えば昨日、和哉に[明日は学校来いよ]って言われたんだっけ。


 そう思いだした途端、ふっと笑顔になった。こんなにも学校に行くのが楽しみなのは、初めてだ。

 そんなことを考えながら歩いていると、後ろから声をかけられた。


「おっはよー、ミワ!」


「おはよ、芽衣」


 最初は芽衣は笑っていたが、歩き始めると芽衣の顔は曇りだした。


「どうしたの……?」


 わたしが控えめにそう聞くと、芽衣は無理に笑いながら言った。


「俊と喧嘩しちゃった」


「喧嘩?」


「うん……」


 最初は無理にでも笑っていた芽衣だったが、もうあとの方はほとんど泣いていた。


「ほんとにくだらないことなの。俊にあたしがメールを送った後、俊があたしに返信しなかったの。今思えば、付き合えてるんだから、それぐらい別にいいよね。でも……」



 文句を言っちゃたの、と芽衣は言った。芽衣の白いほっぺたを、つっと涙が流れた。


「…芽衣?」


 芽衣ははっとして、慌てて涙を拭った。


「ごめん、ミワにする話じゃなかったね」


「ううん、大丈夫」


 芽衣にハンカチを渡して、また歩き出す。そうこうしていると、もう学校に着いた。



「おはよー、あれ、ミワ元気になったの?」


「うん、ミッコおはよ」


「ミワお久しぶりー!」


「よぉ!」


 休み明けの友達は、こんなふうに関わってくる。それが嬉しくもあり、ちょっとうっとうしくもある。


「お、朝倉おはよ」


「ああ、俊一……」


 悪い時に、俊一と会ってしまった。隣を見ると、芽衣が顔を強張らせている。


「芽衣!」


 芽衣は教室まで駆けて行ってしまった。





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