アメ、ときどきチョコレート
「芽衣!」


 芽衣はどんどん先に行ってしまう。


「待って!」


 ドク、ドク、と心臓の動悸がどんどん速くなる。


「芽衣……!」


 ドンッ、ズベシャッ!!

 何が起こったかって?……わたしが転んだのだよ。


「……ミワ、大丈夫?」


 芽衣がUターンして来て、わたしに絆創膏を貼ってくれる。


「……はい、もうこれで大丈夫」


 そう言って芽衣は、また階段を駆け上がってしまった。





「あ、オッケー。次の休み時間までにやっておけばいいんだよね?」


 クラスメイトのお願いに、笑顔で応える芽衣。学級委員の芽衣は、ひっきりなしにクラスメートに呼ばれる。その度に芽衣は、ニコニコして、悲しい気持ちなんて持っていないかのように振る舞う。



「で、最近俊一くんとはどーですか~?」


 友だちのノンノの軽~い一言に、芽衣は凍りついた。その異様な雰囲気を感じたノンノは、引きつりつつも、



「喧嘩しちゃったとか~?」



 ノンノは、何も知らない。ノンノの一言一言に芽衣が傷ついているということを。




「まさか!」




 口調こそ明るいものの、芽衣の手は震えていた。



「ちょっとごめん」


 わたしは芽衣の腕を掴むと、走りだした。行き先は、もちろん屋上。



 
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