アメ、ときどきチョコレート
「一緒にいてやれよ……俊一……」


 そう言いながら、わたしは、すとん、とその場にしゃがみこんだ。



「美和」


 
 和哉にわたしは抱き上げられた。興奮しすぎて、きっと貧血にでもなったんだろう。そしてわたしは、保健室に連れられていった。



「何があったのかよくわからないけれど、まあ落ち着いて寝なさい」

 保健の先生はそう言ってわたしに布団をかけた。


「お前、まだ病み上がりなんだから無理すんな」


 和哉の少し低くて落ち着いた声が静かに響く。


「ごめん……」


 和哉はわたしの頭を撫でると、微笑んで言った。


「謝らなくてもいい。ゆっくり休め」


 ーーーーこんなに安心ができたのは何年ぶりだろう。


 心の重いものが取れて、身が軽くなる感じ。



 やっぱり、和哉といるからだろうな。



 遠くなる意識の中でわたしはそう思った。





「おい、帰るぞ」


 
「んーっ?」


 和哉の声で目が覚めた。窓の外を見ると、もう日が暮れている。すごい時間眠ってたんだなわたしは……。

 まだ意識がはっきりしていないわたしの腕をグイグイ引っ張って、和哉はわたしを保健室のベッドから引きずり下ろす。


「ちょっと!わたしはこれでも病み上がりなのよ!」



「さっさと家に帰らないと、晩飯にありつけないぞ」



「……」



 ぐうう~、と、わたしのお腹がなる。しょうがない。家に帰るか!



 わたしは隣を歩いている和哉に向かって言った。


「ねえ、芽衣、どうなったかな」


「さあな」


 和哉は興味のなさそうな声を出した。






 
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