アメ、ときどきチョコレート
 このまま材料だけ残っても困るので、芽衣にピンチヒッターとしてきてもらうことにした。

 芽衣の電話番号を押して、芽衣が携帯に出るのを待つ。

「あー、芽衣?あたしさ、今からマドレーヌ作るんだけど…。…え?ミワみたいな下手クソな初心者は簡単なクッキーから作り始めた方がいいって?…あんた何気に失礼なこと言ってるわね。ねー、芽衣、ちょっとマドレーヌ作るの手伝ってくれない?」


 芽衣はうんと言ってくれた。


 それじゃあ、芽衣を待つだけか。何かできることはないかとわたしは辺りを見回す。

 ……やること、なし。

 下手なことしてなにかをこぼしたりしないためには、なにもしないのが一番だ。

 わたしはそう開き直って、その辺においてある椅子に座った。
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